明治初期の近代測量最初の標石を求めて
明治初期は文明開化と言われ多くの技術が日本に輸入された。
近代測量も然り。イギリス人のマクヴィーンから伝わり150年が経過した。
日本最初の近代測量は日本の中心の東京であり明治4年に実施されている。
その日本最古の測点が実は東京の芝愛宕山の愛宕神社の池に埋もれているのだった。
(上西先生のHPから引用。)
その池の改修工事をするという情報が昨年標石で遊ぶ会の仲間から得られた。
標石が無くなる前に見学や測量が出来ないものかと愛宕神社へ要望していたが、それらが実を結び本日2月4日(土)11:00~14:00に見学時間を設けてくれるとの事である。
本来なら行く時間は無いのだが、私が行かなくては過去の遺跡のデータが取得できない義務感にかられ最短で足を運ぶ。
土曜日の午前中は毎週テニススクールに行っており、1週間で唯一の運動する時間である。よっぽどの理由がない限り休むわけにはいかない。
テニススクールが終わると着替えて早々にスクールを退散し測量道具を持って新横浜駅へ向かう。
UberSurvey(すごい測量)バッグの活躍の時間である。
少しでも時間短縮のため新幹線での移動を選択。
新幹線の時刻は11:45発のぞみ。
新横浜から東京方面はどの新幹線も各駅停車である。
なので首都圏の私鉄並みに列車は到着する。
自由席ならば来た新幹線に直ぐ乗ればいいのである。
来ましたN700A。
目的地は品川で乗り換えて新橋へ。
品川までは10分くらい。
お昼食べてないんでね。その間にモグモグタイム。
全国の社長、自営業者の昼食なんてこんな感じが多いでしょうw
席には座りません。一駅ですからね。乗降口にはごみ箱もあるので食べたら捨てられる効率の良い場所である。
食べ終わったら直ぐに品川駅に到着。
そして東海道線に乗り換えて一駅で新橋到着。
新横浜からわずか20分で新橋。
文明の力は恐ろしい。
新橋から愛宕神社へは”ヘイタクシー”
愛宕山へ荷物持って上るのはきついのでタクシーだと楽ちん。
新橋から800円。
到着すると参拝客がたくさん。
丁寧に公開しているので標石の存在を知らない方々も”何々?”と言う感じで見学されていた。
休日は参拝客が多いのだと言う。
こりゃ人が多すぎて測量できなかもな・・・。
一先ず、写真は撮らせてもらおう。
こいつはカメラでも有名なライカの測量機器でBLK2GOという。
パノラマ写真も直ぐに取れるので今回は写真撮影に利用。
愛宕山は明治初期には見晴らしのよい場所であっただろうが現在はビル群の中。
GNSS測量やろうにも仰角15度が確保できない。そもそも測量できるんか?
測量はさておき、いよいよ池に立ち入らせて頂く。
しゃがんで写真撮ったりしてる人がいるが、あそこに標石がある。
神奈川県下外国人遊歩規程測量の標石とほぼ大きさが同じである。
30cm×30cm。
いずれも当時の内務省地理寮で作成されたものだから当然であろう。
かなり摩耗していたが・・・ようく見ると十字線があるではあーりませんか。
わかる?わかる?
実はこの標石は明治8年のもの。明治4年のものではない。おそらく・・・。
明治4年のものは同じ位置に地中に埋まっているであろうものがそれにあたると思われる。
他の標石で遊ぶ会の方々は明治4年の標石に興味が強いと思われるが、私は位置の特定がしたい。
土地家屋調査士という職業柄、筆界(公法上の境界)を明らかにする使命が法律に記載されているので、境界点に関連する基準点の位置情報を明らかにしたいのである。
一般の方々にはピンとこないかもしれないが、カーナビやスマホの位置情報のmmまで特定するのが我々の仕事であり、境界点等にその情報を付加させれば、大災害があっても復旧が容易になるのである。つまり国民の権利の保全をはかるため、境界の地図を日々作成しているのである。
じゃあ、なんで明治の標石の位置情報を特定する必要があるの?ってなるが、それは本ブログにも記載の神奈川県下外国人遊歩規程測量標石発掘およびの原始筆界の研究に繋がっていくのでご覧いただきたい。
14:00の終了まで愛宕神社には測量の許可取りで待ち続けたが、測量の許可はおりなかったのである。
工事がこのまま実施され明治の遺構が撤去されるとなると歴史的財産がまた一つ日の目を浴びることなく消えていく。
残念でならないがこれも運命。
ところでこの標石の所有権は誰にあるのか?もともとは内務省のものであり国の所有には間違いない。
当然、工事には愛宕神社も標石の所有者には許可をとっているのであろう。国の物に取得時効が成立するのであれば、神社のものになるだろうが、歴史的文化遺産となると時効は成立しないのではないか?
帰りは意気消沈し徒歩で新橋へ向かうことに。
新橋駅。
鉄道開通もそういえば150年だな。
明治の文明開化の遺構・・・。かたや日の目を浴びてSLが展示されている鉄道。
近代測量も明治の文明開化には同等の技術であったであろう。
地味であるからか、こちらは展示されないのである。
つくばにある国土地理院にいけば展示されているけど、やっぱり東京発祥だから東京に欲しいよね。
このまま新幹線で新横浜まで戻り事務所へ。
iphoneのLiDARでとったものアップしました↓
愛宕山標石
お疲れ様でした。
さ、仕事仕事。業務遅延につき依頼者様に怒られてしまう。